【9月22日 AFP】午前6時前。アルフレッドさん(仮名)は、すでに牛の搾乳で忙しい。だが、農場での作業が終わっても自宅には帰らない。彼が帰る場所は、刑務所の監房だ。

 スウェーデンでは、長い服役生活よりも受刑者たちの更生を優先している。首都ストックホルムの南西約300キロに位置するマリエスタード(Mariestad)の町には、警備を最小限に抑え、農場としての機能を合わせ持つ「オープン・プリズン(開放型刑務所)」がある。アルフレッドさんは、そこで社会復帰に向けた準備を行っている受刑者60人のうちの一人だ。

 銃の不法所持で4月から服役しているアルフレッドさんは、11月に釈放される予定となっている。50代で孫もいる彼は、動物たちと一緒に過ごす時間から得られる喜びを隠せない。「動物が好きだ。気持ちを落ち着かせてくれる」。野球帽を被り、腕じゅうにタトゥーを入れたアルフレッドさんは、ため息交じりにそう話した。

 ロジャン(Rodjan)と呼ばれるこの農場刑務所で、彼は毎日、同じ作業を日課としている。スウェーデンにはこうした農場刑務所が3か所あり、ロジャンはその中で最も規模が大きい。

 朝と夕方のそれぞれ2時間半、作業仲間のソフィアンさん(仮名)と顔を合わせるという。アルフレッドさんは「細菌予防のために(牛の乳房を)拭き、その後消毒するんだ」と楽しそうに話し、搾乳を始めた。

 他の受刑者たちは、作物への水やりや柵のペンキ塗り、芝刈りなどの作業を行う。家畜の世話を担当しているのは、10人ほどだ。