【9月14日 AFP】米国防総省は14日までに、ロシアの爆撃機2機が米アラスカ州西方沖の米防空識別圏(ADIZ)内を飛行し、米軍機が緊急発進(スクランブル)で対応したとしてロシア側に抗議した。米ロ関係が東西冷戦(Cold War)後で最悪の水準に冷え込む中、アラスカ沖ではロシア軍機に対し米軍機が緊急発進する事例が続いている。

 米国とカナダの共同防衛体制「北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)」が13日に出した声明によると、米軍のステルス戦闘機「F22ラプター(Raptor)」が11日夜に緊急発進し、ロシアの長距離爆撃機「ツポレフ95(Tu95)」2機をパイロットが視認して進路を遮った。

 Tu95は最新鋭戦闘機「スホイ35(Su35)」2機に護衛され、公海上空を飛行し、米国とカナダのいずれの領空にも侵入しなかった。NORADの戦闘機は、ロシア機が全てアラスカの沖合約320キロに及ぶ米防空識別圏の外に出るまで監視飛行を続けたという。

 冷戦期に製造されたTu95はターボプロップエンジン4基を積んだ長距離爆撃機で、北大西洋条約機構(NATO)が付けたコードネームは「ベア(Bear)」。核兵器の搭載が可能だ。

 ロシアは11日、シベリア(Siberia)東部で兵士約30万人と各種兵器を動員した国内史上最大規模の軍事演習「ボストーク2018(Vostok-2018)」を開始した。NORADのテレンス・オショーネシー(Terrence O'Shaughnessy)総司令官は、ロシア機の接近について、この演習との関連性が非常に高いものの演習の一環ではないとの見方を示した。(c)AFP