【9月14日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が13日、米自治領プエルトリコを昨年襲った大型ハリケーンの死者数について、公式発表の約3000人という数字は民主党による水増しで自分を陥れようとする策略だとツイッター(Twitter)に投稿し、物議を醸している。

 ハリケーン「マリア(Maria)」の正確な死者数や米政府の混乱した対応をめぐっては、この1年間、論争の的となってきた。トランプ大統領は、米東海岸にハリケーン「フローレンス(Florence)」が接近する中、この論争を蒸し返した。

「プエルトリコを襲った2つのハリケーンでは、3000人も死ななかった。嵐の後、私が島を離れたときの死者数は6~18人だった」とトランプ氏は13日朝、ツイッターに投稿した。「なのに、ずっと後になってから、3000人だとか実に大きな数字が報じられるようになった」

 トランプ氏はさらに、「これは民主党の仕業だ。私のことをできる限り悪く見せようという魂胆だ。私はプエルトリコ復興のために数十億ドルの調達に成功していたのに。老衰などほかの理由で死んだ人を、死者のリストに加えたのだ」と続けた。

 トランプ氏のこの発言は、珍しく党派を超えて反発を招き、民主党指導部だけでなく与党・共和党内からも非難の声が上がっている。

 共和党のベテラン下院議員イリアナ・ロスレティネン(Ileana Ros-Lehtinen)氏(フロリダ州選出)は、「統計すらフェイク(偽)ニュースに変えてしまうほど、ゆがんだ心を持っている」とトランプ氏を酷評。「これまでより、さらにひどいのではないか。どうしたら、そんなに自己中心的になれるのか。これほどまで真実をゆがめようと試みられるのか」と批判した。

マリアによる死者数は当初64人とされていたが、実態をめぐっては1年近く論争が続いていた。先月、米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)が科学的根拠に基づき「現時点で最も厳密かつ客観的な超過死亡の推計」として、死者2975人とする独立調査の結果を発表。プエルトリコ政府は、これを公式の死者数と認定した。

 米ハーバード大学(Harvard University)が5月に発表した別の推計では、マリアの死者数は関連死を含めて4600人を超えるとされていた。(c)AFP/James MANNION