【9月13日 AFP】ボクシング、ミドル級の3団体統一王者ゲンナディ・ゴロフキン(Gennady Golovkin、カザフスタン)は、長らく待たれている再戦を控える中で、対戦するサウル・アルバレス(Saul Alvarez、メキシコ)を薬物の不正使用者として口撃した。

 15日に無敗の王者ゴロフキンとアルバレスは、ちょうど1年前に物議を醸すドロー決着に終わった舞台と同じ米ラスベガスのTモバイル・アリーナ(T-Mobile Arena)のリングに上がる。今年5月5日に予定されていた再戦は、アルバレスが薬物検査で禁止薬物のクレンブテロール(clenbuterol)に陽性反応を示し、その後半年間の出場停止処分を受けたことで延期になっていた。

 アルバレスは、2度の検査失格は母国メキシコ産の汚染肉を食べた結果であり、ドーピングを疑う声を腹立たしげに否定していた。

 しかし、この説明に対して率直に疑問を呈してきたゴロフキンは、試合を控えて11日にラスベガス入りすると、アルバレスの見解を再びけなした。

 ゴロフキンは通訳を介して、「牛肉だとは信じない。汚染された肉という彼の話を信じたりしない。薬物の専門家が、汚染肉ではなくドーピングだと割り出した。(アルバレスの)この話はばかげている」と語った。

 ゴロフキンは、注射の痕が目に見えるアルバレスの写真を見たとし、アルバレスの「手や腕にいくつかの注射痕があるのは否定できない」とした。

「それでも現時点では心配していない。試合のことが気がかりだ」

 36歳のゴロフキンは、最初の対戦の直後は両者の心が通じ合っていたものの、ドーピング問題によってその関係性が悪化したという。

「一戦目の後、彼に『戦ってくれて、素晴らしい戦いをしてくれて感謝する』と伝え、彼も同じように言ってくれた。非常に友好的だった」と振り返り、「しかしドーピング問題の後、すべてひどいことになった」と続けた。

 一方で28歳のアルバレスは、ゴロフキンの主張をはねつけた。

「溺れている誰かが、足をじたばたさせて泣きわめいている。(ゴロフキンの言っていることは)土曜日(15日)の敗戦のための言い訳だ」

「自分はメキシコに住んでいて、家族とそこで時間をともにしている。トレーニングになればサンディエゴにやってくる」

「米国では政府や機関が(肉の)検査をしているが、メキシコでは少し違っていて、制裁や検査がない」

「メキシコにいるときは食事制限もなく、トレーニングもしない。食事計画もないから、肉を週に数回は食べていた。今回のこともあって、残念だが、メキシコでは肉を食べるのはやめた方がよさそうだ」

 ゴロフキンが今週の一戦について、「個人的なものではなく、ビジネス」と語る一方、ゴロフキンは自身の体面に疑問が投げ掛けられていることに心乱されたと明かした。

「あちらが言っているばかげたことに嫌な思いをしているとともに、それをこの試合に向けたトレーニングのモチベーションにしている。あいつらはおれを怒らせようとして、まさにそうなった。おれは怒っている。でもおれは、それを試合で自分のため使うつもりだ」

「初戦の後、自分のミスやすべきことを確認した。完全に、根本から変わった。この土曜日にそれを披露する」 (c)AFP/Rob Woollard