【9月13日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は12日、米国の選挙に介入した外国人に制裁を科すことを可能にする大統領令に署名した。米国では2016年の大統領選挙をめぐり、ロシアがトランプ氏のため選挙戦に干渉したとの疑惑が持ち上がった。

 2016年大統領選では投票システムへのサイバー攻撃が試みられたほか、メディアやインターネット上で偽情報が拡散されたが、今回の大統領令はどちらの行為についても、実行者に金融制裁を科すための正式な手続きを設ける内容。

 大統領令を発表したダン・コーツ(Dan Coats)国家情報長官は、11月6日の議会選挙が迫るなか、介入が「ロシアだけでなく、中国からも行われている兆候がある。またイラン、さらには北朝鮮にも潜在的な実行能力がある」と述べた。

 コーツ長官は「今後に備え、2016年の状況を警告として活用している」とし、再発防止に取り組んでいることを説明。11月まで24時間体制で監視を行うことを約束した。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領は政権終盤、大統領選への干渉をめぐってロシアに制裁を科し、同国の工作員とされる多数の個人を国外退去させた。

 一方、トランプ氏は大統領就任以降、同氏がロシア政府の支援を受けたとの見方を「偽ニュース」と呼んで繰り返し否定。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)ロシア大統領への批判を避けてきた。

 そのため、トランプ政権発足以降は、ロシアとの共謀疑惑の捜査を指揮するロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官による訴追が主な対抗措置となっている。

 モラー氏率いる捜査班は過去1年、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のハッカー12人と、サンクトペテルブルク(St. Petersburg)を拠点とするロシア企業インターネット・リサーチ・エージェンシー(Internet Research Agency)と関連のある13人を起訴してきた。

 米情報当局は同社をオンラインでの偽情報の主な発信源としており、13人のなかにはプーチン大統領と近い関係にある個人も含まれる。
(c)AFP/Paul HANDLEY