【9月13日 AFP】欧州議会(European Parliament)は12日、ハンガリーのオルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相率いるポピュリスト政権に対して前例のない政治的制裁手続きを開始する決議案を採択した。同議会は、ハンガリー政府は欧州連合(EU)の基本的価値観に対し、「全体に及ぶ脅威」を示していると指摘した。

 オルバン首相は前日の同議会で、決議案の採決につながった厳しい内容の報告書に対し、ハンガリーの栄誉と国民に対する侮辱だと反論しており、同案の可決は政治的な打撃となった。

 決議案は賛成448、反対197、棄権48で採択された。制裁はEU基本条約7条に基づく措置で、決議案の採択により、欧州議会は初めてこの措置の実施手続きに入ることとなった。7条による制裁手続きは昨年にもポーランドを対象に開始されたが、これはEUの行政執行機関にあたる欧州委員会(European Commission)によるものだった。

 欧州議会は声明で、民主主義の尊重、法の支配、人権といったEUの基本的価値観の「全体に及ぶ脅威を阻止するため、一つの加盟国に対して」行動を取るよう残る加盟国に呼び掛けた。また、今回の採決の元となった報告書は、司法の独立、汚職、表現の自由、学問の自由、宗教の自由、少数民族と難民の権利に懸念を表明している。

 EU基本条約7条は一部のEU当局者の間で「核オプション(最終兵器)」として知られ、制裁はハンガリーからのEUでの議決権剥奪に至る可能性もある。だが、他のEU加盟国政府が制裁の進行を停止させることも可能で、ポーランドが阻止に動くことを予告している。(c)AFP/Marine LAOUCHEZ with Lachlan CARMICHAEL in Brussels