【9月12日 AFP】(更新、写真追加)ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は12日、日本との間で長年の懸案となっている領土問題を解決すべく、「前提条件なし」での平和条約の年内締結を日本側に提案した。

 プーチン大統領は、東部ウラジオストク(Vladivostok)で開催中の「東方経済フォーラム(Eastern Economic Forum)」で、安倍晋三(Shinzo Abe)首相をはじめとする各国首脳が出席する中、日本側に「年末までに前提条件なしで平和条約を締結しよう」と呼び掛けた。

 プーチン氏による突然の提案は、2日前の日ロ首脳会談後の共同会見で、両国間の領土問題がすぐに解決する見込みはないと述べた発言からの方針転換といえる。

 ロシアと日本は、第2次世界大戦(World War II)末期に旧ソ連が占領した北方四島の帰属をめぐって対立しており、これまで平和条約が結ばれていない。

 プーチン氏はフォーラムの席で「われわれは70年間、領土問題を解決しようと試みてきた。70年間、協議を続けてきた」と述べた。さらにプーチン氏が「晋三(安倍首相)は『われわれのアプローチを変えよう』と言った。そうしよう。ぜひ平和条約を締結しよう。今すぐでなくても今年の終わりまでに、一切の前提条件なしで」と述べると、聴衆は拍手喝采した。

 プーチン氏はまた、平和条約の締結によって「過去70年間、われわれが解決することができなかったすべての問題の解決が促されるように思う」と述べた。

 だが、一部の外交関係者の間には、プーチン氏の提案は実を結ばないとの見解がある。ロシアの元外務次官、ゲオルギー・クナッゼ(Georgy Kunadze)氏は、領土問題解決に賭けるプーチン氏の真剣さを疑問視している。同氏はラジオ局「モスクワのこだま(Echo of Moscow)」に、「これはあおりと言える。プーチン氏は何も期待していない」と述べ、安倍首相が政治的自殺行為となりかねない提案を受けることはないだろうと予想した。

 その一方モスクワでは、イーゴリ・モルグロフ(Igor Morgulov)外務次官が国内の報道陣に対し、プーチン氏の提案は現在の交渉フォーマットに何らかの変更を要求するものではないと述べた。(c)AFP/Maria PANINA with Anna SMOLCHENKO in Moscow