【9月12日 AFP】「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれるアフリカ最東北端部に位置するエチオピアとエリトリアが11日、20年ぶりに国境の往来を再開した。かつて対立していた両国関係の急速な雪解けを飾る出来事だ。

 往来が再開されたのは国境東端付近のエチオピアのブレ(Bure)とエリトリアのデバイシマ(Debay Sima)の間と、国境中央部のエチオピアのザランベッサ(Zalambessa)とエリトリアのセルハ(Serha)の間の2か所。

 エリトリアのヤマネ・ゲブレメスケル(Yemane Gebremeskel)情報相はツイッター(Twitter)への投稿で、エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相とエリトリアのイサイアス・アフウェルキ(Isaias Afwerki)大統領が同日共に、往来が再開された2か所を回って式典に出席したと明らかにした。

 アビー首相の首席補佐官は、「エチオピアとエリトリアを結ぶ道路の往来が再開し、人と物の国境を越えた移動の門戸が開かれた」と述べ、両首脳の訪問は「エチオピア・エリトリア関係の完全な正常化を受けて両国の軍人と共に新年を祝うものだ」と付け加えた。11日はエチオピアの暦で新年の祝日に当たっていた。

 アビー首相とイサイアス大統領が軍服姿で訪れた東部国境地帯では、往来再開を祝いレッドカーペットが敷かれた道路の両側に兵士が整列し、住民たちが歓声を上げたり抱き合ったりしていた。

 今回往来が再開した2か所は1998年、エチオピアとエリトリアが国境紛争に突入して断交した際に閉鎖されたところの一部。紛争は2000年まで続いた。

 国境紛争後の冷え込んだ両国関係によって発展や貿易が妨げられ、地域の安全保障にも悪影響が出ていたが、今年に入ってアビー首相が和平にかじを切り、エリトリア側がこれを受け入れたことで事態が急展開していた。

 両国間の往来の再開は象徴的な意味にとどまらない。経済発展著しい内陸国のエチオピアは輸出入を行うためエリトリアの紅海(Red Sea)に面した港の利用を望んでいる。地域の貿易が増えれば停滞しているエリトリア経済も恩恵を受けるだろう。往来が再開したブレを通る道はエリトリアのアッサブ(Assab)港に、ザランベッサを通る道はマッサワ(Massawa)港に続いている。(c)AFP