【9月12日 AFP】2016年に死去した英ロック歌手、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)さんの初の録音とされるデモテープが11日、英国で競売に掛けられ、予想落札価格の約4倍に当たる3万9360ポンド(約572万円)で落札された。

 イングランド北西部の音楽専門の競売会社オメガ・オークションズ(Omega Auctions)によると、このデモテープをめぐっては激しい入札合戦となり、予想落札価格1万ポンド(約145万円)の4倍近い価格で落札された。

 同社によると、このテープはボウイさんが16歳の時に「コンラッズ(The Konrads)」というバンドのリードボーカルとしてスタジオで録音されたもので、今年に入って見つかっていた。

 録音されていた曲のタイトルは「I Never Dreamed(夢を見たことはない)」。コンラッズは当時、本名のデヴィッド・ジョーンズ(David Jones)で活動していたボウイさんにリードボーカルの担当を依頼し、1963年にスタジオで録音された。

 ボウイさんはその後まもなく、コンラッズから脱退。ソロアーティストとして活動し、6年後の1969年、架空の宇宙飛行士「トム少佐(Major Tom)」を歌った「スペース・オディティ(Space Oddity)」のヒットで脚光を浴びた。

 ソウル、ディスコ、ジャズ、アンビエント・ミュージック(環境音楽)の各分野で新しい試みに挑戦したボウイさんは、歌手としての半世紀以上にわたる経歴を通じ、ロック界で最も革新的な歌手の一人との評価を確立した。2016年、最後のアルバムの発売日となった69歳の誕生日の2日後にがんで死去した。闘病については公表されていなかった。

 11日の競売ではこの他、ロックバンド「レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)」のメンバー全員のサイン入りアルバムが1万4000ポンド(約200万円)で、また、1970年ごろのものとされるジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)さんの手書きの歌詞が1万800ポンド(約157万円)でそれぞれ落札された。(c)AFP