【9月10日 AFP】中国当局は、同国最大規模のプロテスタントの「地下教会」が認可なしで活動していたとして、この教会の閉鎖に踏み切った。公式には無神論の立場を取る共産党政権が宗教への締め付けを強化していることを、改めて浮き彫りにしたと言える。

 閉鎖されたのは、首都北京北部の目立たないオフィスビルの3階にあるシオン教会(Zion Church)。牧師の話によると、9日午後の礼拝後、当局者約70人が教会に踏み込んだという。

 朝陽(Chaoyang)区の民事局は、「捜査の結果、北京シオン教会は未登録で、社会組織の名目で不認可のまま活動を行っていた(ことが判明した)」と発表した。

 中国政府は、統制下にはない組織的な運動について、宗教活動も含め警戒している。識者らは、習近平(Xi Jinping)国家主席の下でそうした組織に対する監視が強化されていると指摘している。

 中国のキリスト教徒は、「家庭教会」や「地下教会」と呼ばれる非公認の教会に通う信者と、政府公認の礼拝所を訪れる信者とに分かれている。

 北京のシオン教会は、同市最大の「家庭教会」の一つで、毎週最大1500人が礼拝に通っていたとされる。

 翌日の10日、現場では、少なくとも十数台の警察車両、制服姿もしくは私服姿の当局者数十人が、礼拝に使用されていた建物で配置に就いていた。

 また、AFPの記者が建物に入ろうとしたものの阻まれ、当局者らが3階は封鎖されていると話した。

 政府公認の中国基督教協会(CCC)は、当局の監督を受けている教会に通う人の数が、カトリック教徒を除き約2000万人と推定している。しかし実際の信者数は、少なくとも4000万~6000万人に達するとする見方もある。(c)AFP