【9月10日 CNS】中国の「教師の日」の9月10日、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)の創業者、ジャック・マー(Jack Ma)会長は文書を公開し、アリババが創業20周年を迎える1年後の2019年9月10日に会長を退任し、後任に張勇(ダニエル・チャン、Daniel Zhang)CEOが就任すると表明した。

 なぜ、マー会長は1年後に退任するのか。退任後は何をするのか。そしてマー会長の退任はアリババにどんな影響をもたらすのか。インターネットに出ている疑問の声を、記者はアリババ関係者にぶつけてみた。

■「102年」継続させたい

 マー会長は退任を急に思い立ったわけではない。公開した文書には「10年前から準備を始めていた」と書かれていた。この決定を下した主な理由は、以下の3点だ。

 一つ目は、本人の関心と人生の理念だろう。教師出身のマー会長はこれまで何度か、教師時代の日々を懐かしく振り返り、「CEOより教師の方がうまくやれる」と語っていた。つい数日前のイベントでも、彼は「最後は教師に戻りたい」と述べたばかりだった。

 第二に、アリババは1999年に設立されたが、マー会長は企業を102年、つまり三つの世紀にまたがって継続させたいと繰り返し語っていた。自身が「102年企業」をずっと指揮することは不可能であり、マー会長は自分に力があるうちに、さらに多くの自分の「分身」を育てる必要があった。

 かつて、「子どもを愛するなら独立させなさい。自分の会社を愛するなら、その会社をもっとよく知っている人にハンドルを譲りなさい」と語ったことがある。

 三つ目は、チャンCEOを代表とする次世代リーダーが既にアリババの中核となっていたからだろう。マー会長は文書の中で、チャンCEOを「傑出したビジネスリーダー」と称えた。

 同社は既に、管理職の若返りを進めている。アリババのパートナーの中に、「80後(1980年代生まれ)」は二人いる。上級管理職に占める「80後」の比率は14%で、90年代生まれの「90後」の管理職も1400人を超えた。また、36人いるパートナーのうち、3分の1は女性だ。

 アリババ関係者は、「マー会長は組織カルチャーが浸透していることを信じ、今回の決定に至った」と指摘した。