【9月9日 AFP】コソボで9日、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領が訪問予定の村へと通じる道路を、アルバニア系住民ら数百人が遮断した。現地のAFP記者が伝えた。

 これに先立ち、ブチッチ氏とコソボのハシム・サチ(Hashim Thaci)大統領との会談が、欧州連合(EU)の仲介によりベルギーの首都ブリュッセルで予定されていたが、直前に中止となっていた。

 だがこの日、ブチッチ氏のコソボ訪問に抗議する人々が、同国北部ミトロビツァ(Mitrovica)と、セルビアの飛び地であるバニェ(Banje)村を結ぶ幹線道路に、車両や切り倒した木でバリケードを築いた。バリケードには「ブチッチは通れない」「無実の市民にジェノサイド(大量虐殺)を行ったやつらは通れない」などと書かれたプラカードが掲げられた。

 国営のセルビア放送(RTS)によると、こうしたバリケードは5か所に築かれ、バニェに通じる全ての道路が遮断されている。

 ブチッチ氏は、セルビア人が多く暮らすミトロビツァで開催される行事で演説する予定だった。

 RTSによれば、ブチッチ氏のルートを遮断しているのは、コソボ紛争でセルビア側の勢力に対してゲリラ戦を展開した「コソボ解放軍(KLA)」の元メンバーらだという。

 セルビア南部に位置する自治州だったコソボはアルバニア系住民が多数派を占め、1998~99年に繰り広げられたコソボ紛争から10年を経て独立を宣言。だがセルビアは、コソボの承認を拒否している。

 両者の協議は数か月にわたって停滞が続いているものの、長年の懸案事項となっている両国の関係正常化を図るべく、両者が国境を変更する案に前向きなシグナルを送ったことから、注目を集め始めていた。(c)AFP