【9月9日 AFP】北朝鮮で8日、建国70周年の祝賀行事が始まった。同日開かれたコンサート中の映像では、同国が誇る業績が披露される一方、ミサイルが誇示されることはなかった。

 北朝鮮が建国を宣言したのは、1948年9月9日。建国記念の祝賀は北朝鮮にとって重要な行事で、軍事パレードのほか、マスゲーム公演の復活など、多くの催しが予定されている。

 一連の祝賀行事は8日夕、数千人の招待客を迎えた平壌体育館(Pyongyang Indoor Stadium)でのコンサートで幕を開けた。

 北朝鮮での同様の公演では通常、奥に設置された大型スクリーンに同国の成功を示す映像が流される。近年では、その映像に必ず、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長率いる現体制下で行われた弾道ミサイル発射の様子が含まれていた。

 だが8日のコンサートで上映された映像は、ミサイルではなく、民族発祥の聖地とされる白頭山(Mount Paektu)や平壌の高層建築といった国内の名所を大きく取り上げるとともに、工場や製鉄所、広大な小麦畑の光景によって同国の経済発展を強調する内容だった。

 軍に関する映像は短いカットが数か所あるのみで、従来の装備だけが取り上げられた。このうち1か所では走行中の戦車や飛行中の戦闘機、行進中の軍隊が映し出されるなか、スクリーン上部に「軍事力は平和を保障する」というメッセージが流れ、その後、赤く熟したリンゴの映像に切り替わった。

 金委員長は4月、北朝鮮の核開発計画の成功を宣言するとともに、新たな戦略的優先事項として「社会主義経済建設」を挙げている。(c)AFP