【9月8日 AFP】選手たちの記者会見が画一化し、試合のことだけを淡々と語るこの時代に、女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)は「~的」や「えっと」、「~とか」といった言葉を自由にちりばめながら、汗をかくのが好きで、ベーグルを1日で何個も食べ、仲の良い友達が1人しかいないとあけすけに話す。

 そうした性格で、今回の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)のスターになった大坂は、四大大会(グランドスラム)の女子シングルスでは日本選手初となる決勝進出を決め、子供の頃から憧れていたセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)とグランドスラムのタイトルをかけて争うことになった。

 大坂は「うそみたい。子供の頃にも、グランドスラムの決勝でセレーナと対戦するのをいつも夢見ていた。それが現実になってすごくうれしい。だけど、アイドル的な存在だということはあまり意識しないようにしないと。1人の対戦相手だと思ってプレーしないといけない」と話している。

 大坂は、1997年10月16日に大阪府で生まれた。セレーナが全米オープン初制覇を飾った1999年当時、大坂はまだ2歳になる手前。一家はそれから数年後に米国へ移り、現在は米フロリダ州のボカラトン(Boca Raton)を拠点にしている。大坂は、日本と米国の二重国籍を持っている。

 こうした経歴が、サーシャ・バイン(Sascha Bajin)コーチが無邪気と評する大坂の性格に影響しているのかもしれない。大坂の会見では、日本のメディアが日本語で質問し、大坂が英語で答える場面がみられる。うまい日本語が見つからないことを謝り、英語に頼ることもあるが、それでも失礼にはならないように気をつけている。

 大坂は「日本は本当に何もかもが最高で、行ってみたら人生最高の時間になるはず。外では毎日おいしいものが食べられたりとかするし。自分で行ったときは、あまり故郷という感じはなかった。超最高の長いバカンスみたいで、離れたくなくなった」と話している。

 ツアーでは若手の部類ながら、大坂はすでに大舞台を経験している。セレーナとの共通点は姉妹でテニスをプレーしていることで、セレーナと姉のヴィーナス(Venus Williams)ほど強烈で型破りなライバル関係というわけではないが、姉の大坂まり(Mari Osaka)も下部ツアーを中心にプロ選手として活動している。

 獲得賞金の額でも、現在は姉と立場が逆転した大坂だが、子供の頃に一家の中で一番テニスが強かったのは姉だという。大坂は「お父さんと練習していた頃に、お姉ちゃんがいなかったらテニスを続けていなかったと思う」と話し、「15歳までは0-6で負けてたのに、どういうわけかある日6-2で勝てた。15年も0-6で負け続けるのをライバルって呼べるのかな」と続けた。

 大坂は、8日の決勝でセレーナを倒せたなら、少なくとも話をうまくまとめてスタジアムの観客の記憶に残るようなことを言い、「史上最悪のスピーチ」と自ら認めたBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2018)からの成長を見せたいと考えている。

「あれはひどいスピーチだった。まあ、練習はするつもり。うん。はあ…」 (c)AFP