【9月7日 AFP】米民主党のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は6日、政権幹部らがドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に職務遂行能力がないと考えているならば、合衆国憲法修正第25条を発動してトランプ大統領を解任すべきだと訴えた。

 ウォーレン議員の発言は、匿名の米政府高官が5日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)への寄稿で、トランプ大統領の品行や言動に関する深刻な懸念を表明したことを受けて出たもの。この論説によると、トランプ氏の「無謀な」意思決定を阻止すべく政権内で抵抗運動が起きているという。

 ウォーレン上院議員は米CNNに対し、「政権幹部らが合衆国大統領に職務遂行能力なしと考えているならば、合衆国憲法修正25条を発動すべき」と語った。

 修正第25条4節は、副大統領と閣僚や行政機関の長の過半数が大統領に職務遂行能力がないと考え議会に文書で申し立てを行った場合、副大統領が大統領の職務を代行すると規定している。その後、議会の採決で大統領は職務を果たすことができないと判断された場合、副大統領は恒久的に大統領の職務を引き継ぐことになる。

 1967年に成立した修正第25条は、2002年に当時のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が結腸内視鏡検査を受けたときのように、緊急事態で大統領が職務を遂行できなくなった場合に、暫定的な権限委譲を認めるものだ。しかし、はるかに重大な結果をもたらす第4節はこれまで一度も発動されたことがない。

 バージニア大学(University of Virginia)政治学センターのラリー・サバト(Larry Sabato)所長は第4節の手続きについて、議会に提出する文書で内閣が大統領に職務遂行能力がないとみなす理由を説明した上で、上下両院の3分の2以上の賛成を得なければ、大統領を退任させて副大統領と交代させることができないため「容易ではない」と説明した。

 米首都ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のジョン・フーダック(John Hudak)シニアフェローもこの手続きについて、「弾劾よりも困難」と指摘している。 (c)AFP