【9月6日 AFP】匿名の米政府高官が5日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)への寄稿で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の「常軌を逸した」「非道徳的」な言動に対し、側近らが危機感を募らせ、トランプ氏を弱体化させようと積極的に動いていると述べた。トランプ氏は直ちに、署名のないこの論説を「意気地なし」と批判した。

 前日には、ホワイトハウス(White House)の職員らが、トランプ氏の衝動的な行動を抑えようと常に必死になっている現状をつづった暴露本が出版されたばかり。

 寄稿は、「私はトランプ政権内の抵抗運動に加わっている(I Am Part of the Resistance Inside the Trump Administration)」と題されているが、側近らは共和党の指針に忠実に従っているのであって、民主党に味方しているわけではないと強調している。

 匿名の高官は「われわれの大義はこの国のためにあるとわれわれは信じているが、大統領はこの共和国の健全性に害となるような行動を取り続けている」と述べ、「トランプ政権の高官の多くは、トランプ氏の掲げる政治課題や彼の劣悪な性向を何とか抑え込もうと、政権の内側から努力を続けている」と説明。「私は知っている、なぜなら私もその一人だからだ」と述べている。

 寄稿によると政権内には、トランプ氏の発言に対し、職員が意図的に別の行動を取る「二重路線」が存在するという。例えば、トランプ氏が「専制君主や独裁者を好む傾向」について、そうした対応が取られているという。

 さらに同高官は、ホワイトハウスの職員らがトランプ氏の「衝動的で、敵対的で、狭量で、無能な」リーダーシップ・スタイルから自らの身を守ることにも余念がないと暴露。「問題の根源はトランプ氏の道徳性の欠如だ」「従ってトランプ氏に任命されたわれわれの多くは、トランプ氏が政権を去るまでの間、同氏の誤った衝動を阻止し、民主主義制度を保持するために全力を傾けている」と記している。

 これに反応したトランプ氏は直ちに、ツイッター(Twitter)に「反逆?」と投稿。この匿名の寄稿者とニューヨーク・タイムズは不誠実だと攻撃した。(c)AFP/ Jerome CARTILLIER, Paul HANDLEY