【9月5日 AFP】米国体操連盟(USA Gymnastics)のケリー・ペリー(Kerry Perry)最高経営責任者(CEO)が4日、辞任を表明した。元チームドクターのラリー・ナサール(Larry Nassar)被告の性的虐待事件後、立て直しに苦心している同連盟にとって新たな打撃となった。

 米国体操連盟の理事会は発表の中で「ペリー会長兼CEOは昨晩、即時に辞職すると理事会に伝えた」「理事会はすぐに暫定CEOの選定を始め、正式な後任を選ぶための委員会を発足させる最中である」と明かした。

 数多くのスキャンダルに揺れる同連盟では先週、エリートプログラムのコーチに就いたメアリー・リー・トレイシー(Mary Lee Tracy)氏が、就任後に即辞任しており、ペリー氏の退任は波乱の一週間を締めくくるものとなった。

 先月28日にトレイシー氏がエリートプログラムのコーディネーターに就任したことをめぐっては、五輪代表選手を含む計250人以上の女子選手に性的暴行を加え、事実上の終身刑を科されているナサール被告の被害者たちから怒りを引き起こした。

 元選手数人は、ナサール被告に対する最初の訴えが出始めていた2016年当時、トレイシー氏が同被告について「素晴らしい」と表現したコメントを批判。また、五輪の金メダリストで、ナサール被告の被害者の一人であるアレクサンドラ・レイズマン(Alexandra Raisman)も、トレイシー氏のコーディネーター就任を非難した。

 レイズマンはツイッター(Twitter)に「私から見れば米国体操連盟は、ナサール被告をサポートしたり、被害者を非難したりした人物を採用し、過去から何も学ぼうとしないということを示した」と投稿した。

 一方のトレイシー氏は、自身はナサール被告にだまされ、当時は同被告の違法行為に気がつかなかったと主張しながら、自らの発言を擁護。その後、ナサール被告の事件をめぐって連盟を訴えているレイズマンに連絡を取ろうとしたことで、就任からわずか3日後に辞任を求められていた。(c)AFP/Rob Woollard