【9月4日 AFP】自身をナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)になぞらえて物議を醸したことのあるフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が3日、訪問先のイスラエルでエルサレムの「ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)記念館」を訪れ、歴史上のこの「おぞましい」時代から世界が教訓を得ることを願うなどと述べた。ドゥテルテ大統領は以前、自身が推進する「麻薬撲滅戦争」で数千人が殺害されていることについて、ヒトラーのユダヤ人虐殺を引き合いに出したことから国際的な非難を浴び、後にこの発言を謝罪している。

 イスラエルを訪れた各国首脳がエルサレムのヘルツルの丘(Mount Herzl)にあるホロコースト記念館「ヤド・バシェム(Yad Vashem)」を訪問するのは恒例のことで、特に話題となることは多くない。しかし、ヒトラー発言など数々の言動で物議を醸してきたドゥテルテ大統領による記念館訪問は、大きな注目を集めるところとなった。

 厳粛な雰囲気に包まれた記念館で、ドゥテルテ大統領は「常軌を逸した1人の指導者に一国が従ってしまうとは、想像し難い。さらに、人間が大虐殺にのめり込んでいく光景など、私には到底理解できない。このようなことは二度と起きないと宣言することで、われわれは一つになれる」と演説。その後も、来館者名簿に記載した「このおぞましく愚かな人間の歴史から世界が教訓を得ることを願う」とのメッセージを自ら読み上げた。

 4日間の日程でイスラエルを訪問しているドゥテルテ大統領はこの日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と会談し、防衛やその他の分野での協力関係などを協議した。

(c)AFP/Mike Smith