【9月4日 AFP】外国人を嫌悪する集団が人々に暴力をふるう騒動が起きたドイツ東部ケムニッツ(Chemnitz)で3日、人種差別に反対するコンサートが開かれ、数万人が足を運んだ。同日にはアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相も国民に対し、極右が掲げる憎悪と分断のメッセージに立ち向かおうと呼び掛けた。

 かつて共産主義体制下の東ドイツにあったザクセン(Saxony)州に位置するケムニッツでは先週、イラク人の犯行とされる刺殺事件に抗議する極右のデモ隊が、外国人らしき人々を標的に暴力行為に及び、世間の注目を集めた。

 週末に行われた一連の抗議集会では、極右過激派の数がその反対派を大幅に上回ったが、3日に開かれた無料コンサートには、夕方までに警察推計で約5万人が集まった。

 コンサートは「私たちの仲間はこれだけじゃない」というスローガンの下でパンクやインディーズのバンドなどが演奏。人種差別反対を訴えるポスターを掲げた人々の多くが「ナチス(Nazi)は出ていけ」と声をそろえた。

 メルケル首相もコンサートに先立ち、憎悪に立ち向かうよう国民に呼び掛けた。シュテフェン・ザイベルト(Steffen Seibert)首相報道官は、ケムニッツで発生した刺殺事件のような犯罪が住民の間に悲しみと不安を招くのは理解できるとしながらも、「暴力に訴えがちな右派過激派やネオナチ」によるデモは、「弔意を示すことにも、都市の一体性をめぐる懸念とも一切関係がない」と指摘した。(c)AFP/John MACDOUGALL with Claudia BATHE in Landau in der Pfalz