【9月3日 東方新報】近ごろ、中国の一部のECプラットフォームで、出店者が偽物の商品を廉価で販売する現象が社会の注目を集めている。

 阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)政策研究室の李倩(Li Qian)総監は「アリババは毎日6億枚の画像識別を行っており、システムが偽物の商品あるいは危険な店舗と判定した場合は即、遮断する措置をとっている。同時に、ビッグデータの演算法を用いて商品の抜き取り検査を行っている。毎年、サンプルとして1億元(約16.2億円)超をかけて10万件を超える商品を購入。偽物を発見した場合は商品の販売を中止させるか、悪質だと判断された場合は、出店資格を取り消している」

「アリババは2017年末、全国23省の法律執行機関と共同で偽物の取り締まりを行い、販売されていた偽物の金額は43億元(約697億円)だった」と李総監。「アリババは偽物販売に対し中国で初めて提訴し、原告として関連する訴訟は12件ある」

 京東(JD.com)の品質管理部隊は、オンライン店舗の資格や調達ルート、製品の入庫検査などに厳格な基準を設けている。同社の陳鵬(Chen Peng)公共事務総監は「当社は近年、ビッグデータ、スマート分析、オンタイム監視システムにより偽物や劣悪品の識別を行うとともに、知財問い合わせシステムを使用することで外国製品の権利保護ルートを提供している」と説明する。

  蘇寧易購(Suning.com)は、プラットフォームの統制管理のために毎年1000万元(約1億6200万円)を超える費用を拠出している。同社の林翔(Lin Xiang)品質管理総監によると、国内外の検査機関と共同で商品の導入時点での品質管理、商品の投入時点での検査を行い、韓国の特許庁や中英貿易協会など国際貿易保護協会と知的財産権所有者との共同監視体制を作り上げている。

 大手プラットフォーム各社が大量の人、モノ、精力をつぎ込んでいるにもかかわらず、偽物や劣悪品を根絶するには至っていない。

「主な原因は、Eコマースのプラットフォームの偽物コストが低く、一部の交流サイト(SNS)のECは参入基準が低く、1000〜2000元(約16220〜32440円))のデポジットを準備すればネット上で商売ができる。問題が起きても、店舗はすでに販売を完了しており代金も回収されているので、保証金を差し押さえたとしても偽物販売の総コストは低い」と、蘇寧易購の林品質管理総監は言う。

 アリババの李総監は、「第三者決済と物流の勃興に伴い、ECビジネスは細分化してきた」と指摘する。「たとえ、ECプラットフォームが偽物を扱っている店舗に対して対策を取ったとしても、店舗は他の小さなプラットフォームに移動して商売を続けることができるので、政府の監督部門はこの点に留意すべきだ」(c)東方新報/AFPBB News