【9月3日 AFP】(更新、写真追加)ブラジル・リオデジャネイロにある同国屈指の歴史を誇る国立博物館で2日夜、大規模な火災が発生した。現在のところ負傷者の報告はないが、ミシェル・テメル(Michel Temer)大統領は「200年にわたる調査研究の成果と知識が失われた」と声明で発表した。

 地元メディアによると、火災が発生したのはグリニッジ標準時(GMT)2日午後10時30分(日本時間3日午前7時30分)ごろ。テレビでは、激しく炎を噴き上げる博物館の建物と、消火活動が難航する様子が報じられている。

 現場には消防車20台が出動して消火に当たっているが、火災は100室以上の展示室に延焼している。出火原因は不明。

 リオ北部にある国内屈指のこの博物館は、1818年にポルトガル王ジョアン6世(King Joao VI)が設立した。貴重な国宝を含む2000万点を収蔵し、ブラジル文化の至宝とみなされてきた。収蔵品の中には、エジプトやグレコ・ローマン(Greco-Roman)時代の美術品や、ブラジル国内で発見された最古の人骨「ルチア(Luzia)」などがある。

■背景に政府の予算削減? 非難の声

 ブラジルのミシェル・テメル(Michel Temer)大統領は、「今日はブラジルにとって悲劇の日だ」との声明を発表。「200年にわたる調査研究の成果と知識が失われた」と述べた。博物館の館長も、地元グロボテレビ(Globo TV)に「文化的な悲劇」だと語った。

 一方、副館長は、ブラジル当局が博物館の維持管理に「無頓着」だったと非難している。「深い落胆と計り知れない怒り」を表明したルイス・フェルナンド・ディアス・ドゥアルテ(Luiz Fernando Dias Duarte)副館長は、かつてブラジル皇族が暮らした元宮殿の博物館にはこれまで必要な支援が一切与えられなかったと指摘した。

 リオデジャネイロ連邦大学(Federal University of Rio de Janeiro)と関係の深い国立博物館は、かねて予算削減の影響を受けていた。研究者や大学教授、学生たちの中からは、3日に博物館前でデモを呼び掛ける声が出ている。(c)AFP