【9月3日 AFP】リビアの首都トリポリの郊外にある刑務所で2日、暴動が発生し、囚人約400人が脱走した。トリポリでは対立する民兵同士の戦闘が激化しており、国連(UN)が支援するリビア統一政府(国民合意政府、GNA)は首都一帯に非常事態宣言を出すと発表した。

 警察によると、暴動が起きたのはトリポリ南郊アインザラ(Ain Zara)の刑務所。付近で民兵同士が激しい戦闘を繰り広げる中、囚人たちが扉を強引に開けさせ、脱走したという。

 この刑務所に収容されている囚人の大半は、一般的な犯罪で有罪判決を受けた者か、長年にわたり独裁体制を敷いたムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の支持者で、2011年のカダフィ政権転覆につながった反政府運動の間に殺人罪で有罪を言い渡された者だった。ただし、今回脱走した囚人がどのような犯罪に関わったかは不明。

 トリポリ南郊では8月27日に民兵同士の衝突が発生。保健省によると、これまでに一帯で少なくとも39人が死亡し、約100人が負傷している。

 2日にはトリポリにある避難民キャンプにロケット弾が撃ち込まれ、当局と目撃者の情報によれば、一家の少なくとも2人が死亡、5人が負傷した。同キャンプには、カダフィ大佐を支持していたために家を追われたリビアの町タウルガ(Taourga)の住民が多数身を寄せている。

 トリポリはカダフィ大佐の失脚と殺害以来、民兵などによる勢力争いの中心地となっている。(c)AFP