【9月1日 AFP】(更新)米国とカナダは31日、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で合意に至らず、協議は来週に再開されることになった。両国の関係筋が明らかにした。

 カナダのクリスティア・フリーランド(Chrystia Freeland)外相が米首都ワシントンの通商代表部(USTR)庁舎を後にした後、交渉の進捗状況に詳しいカナダ当局者は「われわれは来週に交渉を再開する」と語った。

 NAFTA再交渉では米国とメキシコが既に合意に達しており、カナダが除外される可能性も出ているが、フリーランド外相は記者会見で、「ウィン・ウィン・ウィンの合意は手の届く場所にある」と述べた。両国の当局者らは5日に再び会談する予定で、フリーランド外相は「良い合意に達するまで協議を続ける」としている。

 米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)代表の声明によると、ホワイトハウスは31日、90日以内にメキシコとの自由貿易協定に署名する方針を議会に通知。一方で、カナダとの自由貿易協定締約の可能性もあるとした。

 米・カナダ間のNAFTA再交渉をめぐっては、米国が31日を合意の期限とする一方、貿易摩擦解消のための仕組みやカナダ乳製品市場の開放をめぐり両国が落とし所を見いだせずにいるとの報道が出ていた。

 さらに追い打ちをかけたのが、カナダ紙トロント・スター(Toronto Star)が掲載したドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の発言だった。トランプ氏は米ブルームバーグ(Bloomberg)とのインタビューでオフレコを条件に、カナダとの交渉で強硬姿勢を取っていることを誇示していた。

 同紙によれば、トランプ大統領はインタビューで「私がノーと言えば、答えはノーだ。私がノーと言って、あなた方がそれを書くと、あまりに侮辱的なので向こうは合意するわけにいかなくなる」と述べた。

 カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は合意に楽観的な見方を示していたが、トロント・スターによるとカナダ政府当局者らは同紙が入手したトランプ大統領の発言に怒り、米側が誠実に交渉に臨んでいないことの証拠と見なしたという。

 トランプ大統領はツイッター(Twitter)投稿で、オフレコの条件が破られたことを批判。その一方、「少なくともカナダは私の立場が分かっている!」とし、交渉で強硬姿勢を取っていることを認めた。(c)AFP