【9月2日 CNS】中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の「鼎家(Ding Jia)」という不動産の長期賃貸仲介業者が先ごろ破綻し、その背後にある金融手法の危険性が明らかになった。

 統計データによると、長期賃貸不動産の顧客は9割が「80後」「90後」と呼ばれる80〜90年代に生まれた世代で、年齢は20歳から35歳の間に集中している。賃貸料はコストパフォーマンスが良いとされる2000~3500元(約32400〜56700円)の物件が多い。

「鼎家」の賃貸契約は、不動産を借りる顧客が「敷金1か月、前金1か月」の賃貸料を支払う際に、自身の銀行カードを「51返唄」と称するネット金融アプリにひも付けることを求められる。それにより、アプリがまず12か月分の賃貸料を一括で鼎家に立て替え払い、顧客はその後、アプリに毎月、1か月家賃の相応額を返済する仕組みとなっている。

 つまり、顧客は知らず知らずのうちにネット金融業者から1年分の賃貸料を借り、元本と金利を足した均等金額を毎月、返済することになるのだ。クレジットカードの分割返済ローンに、極めて類似している。

 ただし、これはまだ、不動産長期賃貸にかかわる「賃貸ローン」の落とし穴の入り口に過ぎない。

 顧客がネット金融業者から「借りた」1年分の賃貸料は、不動産の所有者に直接支払われることはなく、いったん仲介業者の口座に入った後、仲介業者は毎月あるいは3か月ごとに大家に対して支払っていくので、一定の金額が仲介業者の懐に残ることとなる。

 残った賃貸料の金額が多ければ多いほど、仲介業者が自由に使える資金は膨れ上がり、この資金を活用してさらに多くの不動産物件を運用できる。これを繰り返せば、不動産所有者にとっては賃貸価値が高くなり、ひいては市場相場が押し上げられていく。