【9月1日 AFP】ゲームの中の世界を欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後の英国で外国人嫌悪や移民収容所がはびこるディストピアとして描き、外国人という設定のキャラクターの苦労をプレーヤーが味わう製品が先月リリースされ、ゲーマーの間で賛否が分かれている。

 新ビデオゲーム「ノット・トゥナイト(Not Tonight)」は制作者の懸念を反映し、英国の暗い未来を舞台としている。テーマ曲は、英国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン(God Save the Queen)」の葬送バージョンだ。

 外国生まれのゲームの主人公は英国籍を失ったばかり。「身を粉にして働き、トラブルを起こさなければ、英国にとどまることを許可する」という独裁政権の下、政府の要求を果たすためにあらゆる仕事をせざるを得ない。最初はギグエコノミー(インターネットを通じた単発の仕事の受発注による経済形態)で得たナイトクラブの用心棒の仕事で、客を入れるべきかどうかを判断するが、ゲームが展開すると、英国に入国させるかどうかを判断しなければならない。プレーヤーはこの用心棒になり、コンピューターマウスを数回クリックして相手の身元をチェックする。

 1年半かけてゲームを開発した3人チームの一人、ティム・コンスタント(Tim Constant)氏は、「政治とビデオゲームの組み合わせは大抵は、敬遠されるものだ」と説明する。

 しかし、ゲーム関連サイト「ゲーム・イン・ソサエティー(Game in Society)」の創始者で、仏パリ政治学院(通称シアンスポ、Science Po)の教授、オリビエ・モーコ(Olivier Mauco)氏は、ゲームの世界に政治を持ち込むことは有意義だと言う。「今とは全く異なる、ディストピアとなった英国に住むチャンスが生まれるため、(ブレグジットの)結果と影響を理解する効果がある。プレーヤーは選択を行うことになり、相手を説得しようとするはずだ」