【8月31日 AFP】米イエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)周辺で今週末、約40年ぶりに解禁される予定だったハイイログマ(グリズリー)の狩猟をめぐり、モンタナ州の連邦地方裁判所は30日、解禁の一時差し止めを命じた。

 アイダホ州とワイオミング州で9月1日に予定されていた狩猟の解禁をめぐっては、野生動物の保護活動家やアメリカ先住民の団体が中止を求めていた。

 米魚類野生生物局(US Fish and Wildlife Service)は、もはやハイイログマは絶滅危惧種ではないとして、ロッキー山脈(Rockies)に生息する約700頭を保護対象から外した。しかし、クロウ(Crow)など米先住民の複数の部族は昨年、同局を相手取って訴訟を起こした。

 30日の審理を担当したダナ・クリステンセン(Dana Christensen)連邦地裁判事は、連邦政府がハイイログマを再び保護対象とするべきかを検討する間、14日間にわたり狩猟解禁を差し止める命令を出した。

 今回の狩猟計画では、米西部のアイダホ、モンタナ、ワイオミングの3州にまたがるイエローストーン国立公園の外で、23頭を上限にハイイログマの狩猟を認める予定だった。

 自然保護活動家らは、対象地域に生息するハイイログマの個体数は安定しているとの連邦政府の見解に異議を申し立て、狩猟が解禁されれば、既に生存が困難となっているハイイログマへの圧力となりかねないと主張している。ワイオミング州の保護活動家は、ここ数年にわたってハイイログマが多数死んでいることや、気候変動の影響でこれまで餌としてきた動植物が少なくなっている点を指摘している。(c)AFP