【8月31日 AFP】報道機関にとって戦争取材や調査報道にかかるコストが法外な額となっているとして、専門家らが警鐘を鳴らしている。

 グーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)といったインターネット関連大手が、従来メディアの記事を無料で使用する一方で広告収入を吸い上げてしまっている事態が、良質のジャーナリズムを板挟みにしてしまっているというのだ。

 紛争地帯の取材はコストもリスクもいっそう増している──そう指摘するのは、欧州の重要な写真ジャーナリズム・フェスティバルの一つ、「ビザ・プール・リマージュ(Visa pour l’Image)」の代表、ジャンフランソワ・ルロワ(Jean-Francois Leroy)氏だ。同氏は、ベトナム戦争やユーゴスラビア紛争では「ジャーナリストは直接標的とはされなかった。だが、それは全く変わってしまった」と述べる。

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」によると、今年に入ってからはこれまでに50人のジャーナリストが殺害されているという。武装組織や犯罪集団は、記者たちを殺害するだけではなく身代金目的で誘拐もする。

「イラクのような紛争地の取材は、ますます高くつくものになっている」とルロワ氏。「警備コストが急増している。取材するためには、仲介者、ボディガード、通訳者、運転手が必要だ」としながら、「数年前のニューヨーク・タイムズ(New York Times)の見積もりでは、バグダッドでの取材費は1日当たり1万ドル(約110万円)だった」と説明した。