「記憶に留めておく一枚の報道写真」

誰もが大好きな甘くておいしいチョコレート。しかし現実は甘くなかった。チョコレートが世界中に届くまでには、児童労働という問題を考えずにはいられない。問題の根幹にあるのは、末端の農家が満足に暮らせるだけの対価が得られない「不公平な貿易」である。生産者はいまだ深刻な貧困に直面している状態が続いている。少しでも貧困から抜け出すために、労働力として多くの子どもが危険な労働や重労働を強いられている。生産者である親が適正な代金を手に入れることができれば、子どもは学校に通うことができるのだ。児童労働をなくすための取り組み、「フェアトレード」が知られているが果たしてどれくらい役割を果たしているのだろうか。私たち消費者が、より児童労働への問題意識を高め価格よりも問題解決を優先させなければならないのである。「不公平な貿易」はなくすために、一歩一歩ルールを改善していこうではないか。甘い現実が訪れるように。


東京女子大学 金澤悠伎那 貿易セクション 

■貿易セクション 部門賞
[講評]野末俊比古(青山学院大学教育人間科学部教授)

「甘くない」というタイトルからはいろいろな状況が想像できます。しかし、文章を読み、児童労働ひいては貿易の問題について訴えるために選ばれた写真であるとわかった私たちは、甘くないのは私たちの認識であると気づかされます。ココア農場からチョコレートに絡めた発想で書かれた文章は読みやすく、好感を抱かせます。