「記憶に留めておく一枚の報道写真」

fast fashionという言葉を聞いたことのない人はいないだろう。安く洋服を手に入れることができるため、日本でも多くの人々が利用している。一方でfast fashionが日本に輸入される前、つまり生産現場の状況を知っている人はほとんどいないのではないだろうか。この写真の女性は2013年バングラデシュの首都ダッカ近郊で起きたビル崩壊事故の犠牲者の親族である。崩壊したビルにはfast fashionの縫製工場が入っていた。この事故は十分な点検がなされていなかったことが原因で発生し、1000人以上の犠牲者を出した。バングラデシュだけではなく、多くの途上国で人権を疎かにされる様な悲惨な労働環境が報告されている。タイトルと同様に「安さ」の裏側にあるものに目を向けることが大切であり、その上でエシカルな貿易について考え直す必要があるのではないだろうか。


津田塾大学 山田秋乃 貿易セクション