「記憶に留めておく一枚の報道写真」

国家が国民の平和を奪い去る。この国ではもう何度も行われてきたことだ。南米にあるベネズエラは今、危機に瀕している。対外債務不履行と収入の減少によって、輸入に頼っていた国からは物が消えた。物価高騰が続き、もはや自国通貨に価値はない。警察などの治安維持部隊は機能せず、犯罪は日常茶飯事だ。政府はこれらの危機的状況を、「帝国主義国家と野党による陰謀の結果」と断定し、他の国家からの人道的支援の申し出を拒否し続けている。この政府は、自らの保身と権力掌握に全力を挙げる。2015年に野党が過半数を握った議会に対して、最高裁を使い幾度となく法案を無効化した。2017年には新憲法制定を名目に新たな議会を作り、元の議会から立法権を剥奪した。そして今年5月に、大統領や議会などを含む大規模な総選挙を行うことが発表された。連日のデモ活動にも政府は聞く耳を持たない。国家が拒否する中で、国際社会が人々の平和を守るためにできることは何だろうか。


明治大学 松本賢治 平和構築セクション