【8月26日 AFP】米民主党は25日、次回の大統領選から党の指名候補選出過程における特別代議員の投票権を制限することを、党全国委員会の投票で決めた。特別代議員をめぐっては前回2016年の米大統領選の民主党予備選で議論を呼び、今回の措置は党内に入った亀裂を修復し、公平性と透明性を高めていくことが狙いとみられる。

 特別代議員は議員経験者や党幹部などで構成され、2016年の米大統領選では党大会の候補指名において各州予備選で選ばれた一般の代議員の票に加える形で投票ができ、影響力を発揮した。

 指名獲得を逃した左派バーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員の支持者たちは、特別代議員は州予備選の結果に縛られておらず、必ずしも民意を反映していないにもかかわらず党主流派に近いヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官の指名を後押ししたと激しく非難していた。

 クリントン氏は特別代議員の票を除いても指名に必要な過半数を獲得していたが、特別代議員の影響力よってクリントン氏の候補指名は争う余地がないという印象が不当に作られたとサンダース氏の支持者たちは主張。さらにクリントン氏は大方の予想に反し、本選で共和党指名候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏に敗れることとなった。

 25日に党全国委員会で決定した内容によると、党候補指名でほぼ毎回決め手となっていた党大会の第1回投票に特別代議員は今後投票できない。一方、党の綱領など党運営に関するその他の投票では特別代議員の特権は維持されるという。

 サンダース氏はツイッター(Twitter)に「一般の米国人の意見により敏感になり、開かれた民主的な党にしていく上で重要な一歩」と投稿し、党全国委員会の決定を歓迎した。

 党に貢献してきた人々には特別な配慮があってしかるべきだとして、特別代議員の間では改革に強硬に反対する意見が優勢だった。しかし、党全国委員会のトム・ペレス(Tom Perez)委員長は今回の決定について大きな改革であると擁護するとともに、「(次の大統領選が行われる)2020年の候補指名手続きを党史上最も協力的かつ透明にすることで、民主党の成長と結束、有権者の信頼回復の助けとなる」と主張した。

 次回大統領選の民主党候補についてはまだ未知数だが、極端な両極化やトランプ政権の度重なる混乱もあり、民主党指導部は党内の亀裂をかなり早い段階で修復したい意向にある。(c)AFP