【8月25日 AFP】オーストリアで、増加するオオカミによる家畜被害対策として、オオカミへのゴム弾の発砲を認められることになった。同国の州当局が22日、発表した。

 近年、欧州各国ではオオカミの個体数が急速に増加しており、これに伴い家畜がオオカミに襲われる被害も増えている。

 こうした事態を受け、ニーダーエスターライヒ(Lower Austria)州のシュテファン・ペルンコプフ(Stephan Pernkopf)副知事は、年末までに州内3地区で、オオカミによる家畜襲撃を防ぐために、農家らのゴム弾の発砲を認める方針を明らかにした。ただし、オオカミを殺すことは認められない。

 副知事はさらに欧州連合(EU)に対し、「すでにオオカミは絶滅の危機にはない」として保護法の再考を求めたという。

 チェコとの国境に近いニーダーエスターライヒ州では、直近の数週間だけでヒツジ31頭がオオカミに襲われて死んでいる。

 一方で、世界自然保護基金(WWF)は、農家に対する家畜保護の支援がなされていないとして当局を批判。「危険なのはオオカミではなく、恐れの風潮をつくりだすことだ」と指摘し、ニーダーエスターライヒ州では、何年も防護柵の設置やオオカミとの共存に関する農家への講習といった家畜保護対策ができていないと指摘している。

 WWFは、欧州に生息するオオカミの個体数を1万2000頭と見積もっている。(c)AFP