【8月23日 AFP】サウジアラビア政府は23日、国営石油会社サウジアラムコ(Saudi Aramco)の新規株式公開(IPO)計画を中止したとの報道を否定し、上場に向け準備を進めていると強調した。

 ハリド・ビン・アブドルアジズ・ファリハ(Khalid bin Abdulaziz al-Falih)エネルギー産業鉱物資源相は声明で、「政府は今もサウジアラムコのIPOに取り組んでおり、いつが条件として最善であるかを検討している段階にある」と述べた。

 アラムコ株の約5%を放出する計画はサウジ経済の石油依存脱却を図るムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子の改革の基軸。世界最大の株式売却として注目を集めており、英ロンドン、米ニューヨーク、香港など主要な証券取引所がアラムコの上場を誘致しようと争っている。

 しかし、アラムコ幹部は市場の上場条件が好ましくないとしてIPOの延期を繰り返しており、実現可能性を疑問視する観測が広がっていた。

 こうした中で22日夜、IPO計画の中止とフィナンシャルアドバイザーのチーム解散がメディアで報じられ、さまざまな憶測が飛び交っていた。

 専門家らは、サルマン皇太子が求める2兆ドル(約220兆円)の企業価値を実現できないことに加え、IPOに伴ってかつてない厳しい監査が入るとの懸念からアラムコが決断を渋っており、IPO延期を繰り返しているとの見方を示している。(c)AFP