【8月23日 AFP】モロッコと接するアフリカ北端のスペイン海外領土セウタ(Ceuta)で22日、100人を超えるアフリカ出身の移民が有刺鉄線の張られた国境フェンスのモロッコ側に殺到し、警官に腐食性のある生石灰を投げつけるなどしてスペイン側に侵入した。地元当局者が明らかにした。

 セウタでの国境襲撃はここ1か月で2回目。同領スペイン政府代表部報道官がAFPに語ったところによると、フェンスをよじ登ろうとした移民が警官に生石灰やバッテリー用の希硫酸を投げつけ、警官7人が軽傷を負った。この報道官によれば、115人前後の移民がセウタ側に入った。

 また移民側にも負傷者が出たが、数は分かっていない。

 地元紙エル・ファロ・デ・セウタ(El Faro de Ceuta)に掲載された画像には、上半身裸のアフリカ出身の移民らがセウタ入りを祝う様子が写っており、その多くが手に切り傷を負っている。

 モロッコに不法滞在しているサハラ以南出身の移民は毎年、国境フェンスを乗り越えたり、海岸沿いを泳いだりして欧州入りを試みてきた。

 アフリカには欧州連合(EU)加盟国と地続きの国境がセウタと、同じくモロッコに接するスペイン海外領のメリリャ(Melilla)にしかなく、両領はEU圏を目指す移民を引き寄せている。

 今回の事件は、セウタがイスラム教の祭日「犠牲祭(イード・アル・アドハ、Eid al-Adha)」を祝うなかで起きたもの。同領では先月26日にも、アフリカ出身の移民600人余りが2重の国境フェンスを越えてスペイン側に侵入する2017年2月以降最大の不法入国事件が起きていた。(c)AFP