【9月18日 AFP】サッカー元ドイツ代表のメスト・エジル(Mesut Ozil)は「小さな妻」で、フランス代表のポール・ポグバ(Paul Pogba)は「巨乳」、そしてマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督は「魔法の鳥」。中国のサッカーファンとメディアは、世界有数のビッグネームたちに斬新かつ奇妙なニックネームを付けるのが得意だ。

 表意文字の漢字を使う中国では、アルファベットで書かれた欧州選手の名前をそのまま置き換えるのは難しい。ハリー・ケイン(Harry Kane)やリオネル・メッシ(Lionel Messi)のようにシンプルな名前は正確に読んでもらえるが、全員が彼らのように運が良いわけではない。そこであだ名の出番となる。

 愛称は人気を測る指標でもある。例えば中国スーパーリーグ(1部)の上海申花(Shanghai Shenhua)に加入したものの、ほとんど結果を残せずに1年で退団したカルロス・テベス(Carlos Tevez)は、アルゼンチン国外ではなかなか一つのクラブに留まれないことから「重度のホームシック少年」というありがたくないあだ名を頂戴した。

 エジルが「小さな妻」とちゃかされるのも、同じように中国国内での評価が関係している。先日、「人種差別と敬意を欠く扱い」を理由にドイツ代表を引退したエジルは、中国では弱虫とみなされているのだ。一方、一時はスーパーリーグ参戦かといわれたウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)にも「ぽっちゃり」という残念なあだ名が付いているが、こちらは挑発というよりも親愛の情を込めたものに近い。

 逆に、気に入った選手や監督にはとても優しい。ポグバは中国語の発音が似ていることから「巨乳」と呼ばれ、ユナイテッドでポグバを指揮するモウリーニョ監督も、同じ理由で「魔法の鳥」というあだ名をもらっている。中国では知名度の高いマルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)監督は、その銀髪から「銀ギツネ」と呼ばれ、パウリーニョ(Jose Paulo Bezerra Maciel Junior 'Paulinho’)は運動量豊富なスタイルを評価されて「荒ぶる鳥」という異名を頂戴している。

 そしてアレシャンドレ・パト(Alexandre Pato)だ。スーパーリーグの天津権健(Tianjin Quanjian FC)で復活を果たした28歳は、中国版ツイッター(Twitter)の微博(ウェイボー、Weibo)への投稿もまめに行っており、高給取りの外国籍選手の中では中国の生活になじもうとしている選手だとみられている。そのパトに付いたニックネームが「帕建国(パ・ジャングオ)」。「国造り」を意味するあだ名が付いたのは、パトの中国に対する愛情を評価してのことだ。

 その他にも、W杯ロシア大会(2018 World Cup)で旋風を巻き起こしたキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)は、19歳という若さから「子犬」と呼ばれている。

 ちなみに、中国人があだ名をつけるのはサッカー選手に限ったことではない。

 男子テニスのスター選手ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、愛情をこめて「乳牛」と呼ばれている。これはフェデラーの落ち着いた物腰に関係している。美尻で有名な米女優のジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)は「尻の女王」と呼ばれているそうだ。(c)AFP