【8月22日 AFP】メキシコ中部プエブラ(Puebla)州で独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)がひょうの被害から完成した新車を守るため意図的に干ばつを引き起こしたとして、近隣の農業従事者らは21日、同社を相手取って訴訟を起こした。

 VWは同州クアウトランシンゴ(Cuautlancingo)に工場を所有しており、大気中にひょうができないようにする装置「ひょう砲」を屋外に駐車している新車を守るために使用しているという。

 しかし地元農民らは、同装置の使用により干ばつが引き起こされ、作付面積にして2000ヘクタール相当の作物が失われたと主張している。

 ひょう砲の実際の効果について、専門家らは懐疑的な見方を示している。しかし農民らの主張によると極めて効果的に作用し、ひょうを降らす雲のみならず雨雲まで散らしてしまい、雨期の始まりとされる5月以降一滴の雨も降っていないという。

 伝えられるところによると、農民たちはVWに対し補償金として7000万ペソ(約4億1000万円)以上を支払うよう求めているという。

 VWは今週、装置の自動作動モードを解除し、ひょうを降らせる可能性のある雲が近づいてきた時にのみ使用する意向を発表。事態の沈静化を図っていた。また、ひょうから車のボディーを守る網目状のカバーを購入する考えも明らかにした。

 しかしこうした措置も、VWに対する抗議を続けてきた地元の農民や当局者の怒りをかき立てただけだった。

 地元環境当局トップのラファエル・ラミレス(Rafael Ramirez)氏は、「たとえ手動モードといえども、ひょう砲の使用を続けることは容認できない。VWは完全に使用を中止してほしいという近隣住民の要請に配慮せず、勝手気ままに振舞っている」と憤った。(c)AFP