【8月22日 AFP】月の表面に氷が存在することを示す決定的な証拠が、このほど初めて確認された。未来の月面滞在に希望をもたらす発見となった。論文が20日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。

 月に氷が存在することを示す兆候は、これまでも幾度となく報告されてきた。だが、今回発表された研究論文によると、これまでの報告は、異常に強い反射性を持つ表層土など、別の要因で説明できるものばかりだったという。

 論文の主著者である、米ハワイ大・地球惑星物理研究所(Hawaii Institute of Geophysics and Planetology)のリ・シュアイ(Shuai Li)氏は、AFPの取材に「科学者が(月の)表面に氷が存在することを示す決定的証拠をつかんだのは、これが最初だ」と語った。

 氷は、主に南極と北極付近にあるクレーターの影の部分にあった。インド宇宙研究機構(Indian Space Research Organization)が2008年に打ち上げた月探査機「チャンドラヤーン1号(Chandrayaan-1)」に搭載された、米航空宇宙局(NASA)の鉱物組成マッピング装置「M3(Moon Mineralogy Mapper)」を使った観測から、その存在が明らかになった。

 NASAの発表によると、M3の観測データから「月の表面に氷があることを決定づける」三つの化学的特徴が確認できたという。

 氷が存在する両極付近について、リ氏は「極寒」で最高温度がマイナス157度を上回らないと説明。ただ、装置が検知できるのは表面数ミリに限られるため、存在する氷の正確な量は不明と指摘した。

 一方、今回の発見についてNASAは、十分な量の氷が存在すれば「将来の月面探査および滞在に向けた水の資源として利用可能となるだろう」と述べている。(c)AFP