■食物連鎖の上位にまで達するマイクロプラスチック

 研究チームは、排水口やトイレに流されたコンタクトレンズを下水処理場まで追跡調査した結果、処理場でレンズは粉々になるが化学的に分解されるわけではないことを確認した。

 レンズが粉々になってできたプラスチック粒子は、海に流入するか、下水汚泥の一部となる。汚泥は多くの場合、肥料として土壌に散布されるが、汚泥に混入したプラスチック粒子も、土壌からの流出水に運ばれて海に流入する。

 海に流入したマイクロプラスチック(微小なプラスチック粒子)は、小型の魚やプランクトンが餌と間違えて摂取する可能性がある。これらのマイクロプラスチックは消化されないため、食物連鎖の上位に位置する動物にまで達し、そして人の食べ物に混入する。

 ハルデン氏らは、コンタクトレンズを下水に流すと環境に悪影響が及ぶということに気付いていない人が多いと指摘する。そのため、今回の研究が、コンタクトレンズのメーカーに対する警鐘となるとともに、コンタクトレンズを他の固形廃棄物と一緒に適切に廃棄するよう促すメッセージとなることを期待している。

 今回の研究では、コンタクトレンズを適切に廃棄する方法をパッケージに表示して消費者に周知しているメーカーが1社のみであることも分かった。(c)AFP