【8月21日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は20日、米ペンシルベニア州のカトリック教会で300人以上の司祭らが長年にわたって児童たちを性的に虐待していた事実を「残虐行為」と評して厳しく非難し、カトリック教会を揺るがす一連の不祥事の再発防止に正面から取り組むと重ねて約束した。同州の司祭らによる性的虐待は、州大陪審が先週公表した報告書で初めて明らかになった。

 フランシスコ法王はバチカン(ローマ法王庁)を通じて公開した書簡の中で、「被害者ら少なくとも1000人が性的虐待の経験を詳細に語った報告書が数日前に公表され、聖職者たちによる権力および良心の悪用の実態が明らかになった」と述べ、「ほとんどの性的虐待は過去のものだが、それでもわれわれカトリック教会は今、時を経て多くの被害者たちの苦しみを知り、彼らが受けた傷は決して消えないと悟った。彼らはわれわれに、こうした一連の残虐行為を強硬に非難し、死の文化を団結して根絶するよう求めている」と述べた。

 さらにバチカンのグレッグ・バーク(Greg Burke)報道官によると、法王は虐待に関与した聖職者だけでなく、そうした事実を隠蔽(いんぺい)した司教らも対象にした責任追及が早急に必要との見解を示しているという。

 しかし、少女時代に聖職者から性的虐待を受けた経験を持つアイルランド人被害者のマリー・コリンズ(Marie Collins)さんは、法王やバチカンの声明には「行動計画」が欠けていると指摘。虐待当事者らの責任をどうのように追及するのか具体的に示すよう求めた。コリンズさんは法王傘下の児童保護委員会で委員を務めていたが、昨年に委員を辞任している。(c)AFP