【8月17日 AFP】イタリア北部ジェノバ(Genoa)で起きた高速道路の高架橋の崩落事故を受けて、南米ベネズエラでこの橋の「双子橋」の安全性に対する懸念が高まっている。

 ベネズエラ第2の都市マラカイボ(Maracaibo)と同国各地を結んでいる全長8.6キロのラファエル・ウルダネタ将軍(General Rafael Urdaneta)橋。この橋を設計したのは、14日に起きた崩落事故で39人が死亡したイタリアのモランディ(Morandi)橋と同じイタリア人技術者の故リカルド・モランディ(Riccardo Morandi)だ。ウルダネタ将軍橋は、モランディ橋よりも5年早い1962年に開通している。

 10日にウルダネタ将軍橋で火災が発生したことを受けて、専門家らが橋の状態についての報告書を作成している。この火災で変圧器が壊れたため橋は閉鎖され、数日間にわたって大規模な停電も起きた。

 マラカイボを州都とするスリア(Zulia)州の技術系企業の社長を務めていたマルセロ・モノ(Marcelo Monot)氏によると、ウルダネタ将軍橋の鉄筋コンクリート製の橋脚のメンテナンスは、20年以上行われていない。さらに、長年にわたって計量システムが機能していないため、貨物車の重量を計測できていないこともリスクだという。

 原油価格の低迷や汚職、政策の失敗によりベネズエラ経済は行き詰まり、食料や医薬品不足も慢性化する中、崩壊しかけているインフラに対する懸念もかねて高まっていた。メンテナンスや予備部品の不足のせいで同国では停電が頻発しているが、政府はウルダネタ将軍橋の火災の原因について、破壊工作だと主張している。(c)AFP