【8月17日 AFP】イタリア北部ジェノバ(Genoa)で起きた高速道路の高架橋崩落事故で、橋の下の店で買い物中に落下してきた巨大コンクリート片の下敷きになった女性が16日、事故当時の様子を語った。

 マリナ・グアグリアータ(Marina Guagliata)さん(58)は、設計者の名を取って「モランディ(Morandi)」と呼ばれていた高架橋が崩落した14日、娘のカミラ(Camilla Guagliata)さん(24)と一緒に高架橋下にあるリサイクル店ファブリカ・デル・リチクロ(Fabbrica del Riciclo)を訪れていた。

 店内で商品を見て回っていたところ、どこからともなく降ってきた巨大なコンクリート片が店を直撃したという。

 気が付くと2人はがれきの中に埋まっていた。「私は胸まで、娘は完全に埋まっていました。何度か気を失うこともありました」。マリナさんは病院のベッドの上で伊メディアの取材に応じ、声を震わせながら救出されたのは「奇跡」だと述べた。

 マリナさんは顔までは埋まっていなかったので息ができたが、カミラさんは完全にがれきの下敷きになっていて姿が見えなかった。マリナさんは手探りで娘の手や顔の位置を確かめ、口の周辺のがれきをどうにか取り除いたという。

 マリナさんは「助けを求めて叫び続けていた」という。消防隊がやっと到着したことは覚えているが、そこから先は、娘を先に助けてほしいと頼んだことしか記憶になく、次に気付いたときは病院のベッドの上だったという。

 カミラさんも同じ病院の別の病棟に入院している。容体は安定しているが、片脚を複雑骨折しているほか、骨盤やあばら骨、片腕も骨折し、気胸の症状もあることから、回復には長い時間がかかる見通しだ。

 モランディ橋の崩落事故では、マリナさん親子を含む15人の負傷と38人の死亡が確認されているが、救助活動の進展とともに死者数は増えるとみられている。(c)AFP