【8月16日 AFP】(更新)北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が昨年マレーシアで殺害された事件で、クアラルンプール近郊の高等裁判所は16日、殺人罪に問われた実行犯の女2人について公判を継続する判断を示した。

 裁判長は、殺人罪で起訴されたインドネシア人のシティ・アイシャ(Siti Aisyah)被告とベトナム人のドアン・ティ・フォン(Doan Thi Huong)被告に対する検察側の罪状の立証が十分だったと認め、裁判を続行して弁護側の証人尋問に入るよう命じた。

 裁判長の言葉を聞いた2被告は、衝撃を受けた様子で涙を見せた。裁判所が検察側の証拠を不十分と判断すれば、無罪が言い渡される可能性もあった。被告側弁護人は、裁判所の判断について「深く失望している」と記者団に語った。

 2人は2017年2月、クアラルンプール国際空港(Kuala Lumpur International Airport)で正男氏の顔に神経剤VXを塗りつけて殺害したとされる。同年10月に始まった公判では、北朝鮮の工作員4人が2人を勧誘し、犯行を計画して毒物を渡した上でマレーシアを出国したとの経緯が説明された。

 被告側は、テレビ番組のいたずらだと思い込まされ、北朝鮮工作員が綿密に練り上げた計画に巻き込まれたと訴えている。一方、検察側は2人について、暗殺者として訓練され、何を行っているかきちんと理解していたと主張している。殺人罪で有罪になれば、絞首刑が適用される。(c)AFP