【8月15日 AFP】台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は13日、中南米歴訪で台湾と国交があるパラグアイとベリーズに向かう途中、経由地である米ロサンゼルスの郊外にあるロナルド・レーガン大統領図書館(Ronald Reagan Presidential Library)でスピーチした。台湾の総統が米国内で公に発言したのは15年ぶり。中国政府は米政府に公式に抗議した。

 蔡総統は、レーガン元大統領の「何事も交渉の余地があるが、われわれの自由と未来の2つだけは別だ」という言葉を引用し、この感情は当時の台湾人も持っていたと指摘。また、中国政府との交渉を台湾当局に働きかけないと約束するなど、米台関係に貢献したとレーガン氏を称賛した。

 さらに「われわれは国益、自由、民主主義の原則の下、地域の安定と平和を協力して促進していくという誓いを守っていく」と述べ、民主主義的な価値観を守る姿勢を示した。

 台湾総統が米国内で公に発言したのは2003年に当時の陳水扁(Chen Shui-bian)総統が経由地のニューヨークで人権関連の賞を受け、数回のスピーチを行って以来15年ぶり。

 中国の台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室(Taiwan Affairs Office)は14日、AFPの質問に文書で回答し、台湾は中国の一部であり、台湾の独立を促進しようとするいかなる試みにも反対するという従来の見解を繰り返した。

 中国外務省は、政府としてこれまで一貫して米国をはじめとする中国と国交を持つ国が台湾総統を通過させることに「断固として反対」してきたとして、今回蔡氏が米国を経由したことについて米政府に公式に抗議したと発表した。

 米国務省のヘザー・ナウアート(Heather Nauert)報道官は14日、蔡氏が談話を発表したことについて報道陣に対し、北京の政府が中国の唯一の政府であるという米国の公式な立場を変更するものでも台湾政府を承認するものでもないと述べ、米国の台湾政策は変わっていないと強調した。(c)AFP