【8月14日 AFP】トルコの通貨リラの急落が市場を揺さぶっている。トルコ中央銀行は13日、リラ安に歯止めを掛けるべくさまざまな措置を講じたが、リラ売りを抑えられず同日の外国為替市場ではさらに下落した。14日は下落が一服しているものの急激に反発する兆しはみられない。レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、トルコを「背中から刺そうとしている」と再び米国を非難した。

 トルコ中央銀行は、リラが急落した10日の「ブラック・フライデー」以降初めて声明を発表し、金融市場の安定のため「必要なあらゆる措置」を講じる用意があると表明。金融機関が必要とするすべての流動性を提供する方針を示し、銀行の預金準備率も見直した。

 しかし、声明は大半のエコノミストやアナリストが危機の緩和に必要だとしている利上げについては明確にしておらず、市場には失望が広がった。

 リラは13日、さらに7%下げ、一時対ドルと対ユーロで過去最安値を再び更新した。投資家は経済危機がトルコから他国にも波及して、特に欧州の銀行に影響を与えることを懸念している。

 トルコ・リラは今月10日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がトルコから輸入する鉄鋼とアルミニウムの関税を2倍にしたと発表したことを受けて米ドルに対して約16%下落した。

 トルコが拘束している米国人牧師をめぐり米・トルコ関係は悪化。リラに打撃を与えただけでなく、両国の今後の協力関係も危ぶまれている。

 エルドアン大統領は首都アンカラで行った演説で、米トルコ関係について「われわれは共に北大西洋条約機構(NATO)の加盟国だが、米国はパートナーを背中から刺そうとしている。このようなことを容認できるだろうか」と批判した。この発言を受けてリラは対ドルでやや下げ足が鈍った。(c)AFP/Fulya OZERKAN