【8月13日 AFP】中央アジア西部のカスピ海(Caspian Sea)に面するアゼルバイジャン、イラン、カザフスタン、ロシア、トルクメニスタンの5か国首脳が12日、石油や天然ガスなどの資源が豊富な同海の法的地位を定める画期的な協定に署名した。

 カスピ海の地位をめぐっては、ソ連崩壊以後衝突が続いてきた。

 今回首脳会議を主催したカザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ(Nursultan Nazarbayev)大統領は、協定への署名に先立って5人の首脳を「歴史的出来事の参加者」と呼んだ。

「カスピ海の地位に関する合意は達成困難で、直ちには得られなかった」と認めたナザルバエフ大統領は、「交渉は20年以上にわたり、当事国からの多大なる協力を要した」と振り返った。

 ナザルバエフ氏によると、この協定により石油・天然ガスの海底パイプラインの建設および各国の漁獲割当量の設定が可能になるとともに、外国軍の駐留が禁止されるという。

 協定締結をけん引したとみられているロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、協定には「画期的意義」があると語り、カスピ海沿岸諸国間の軍事協力の強化を呼び掛けた。

 カスピ海には、500億バレルの石油、8兆4000億立方メートル近い天然ガスが埋蔵されていると推定されている。新協定では、各国の領海を定める方法が規定された。

 ただイランのハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領は会議の中で、この領海の線引きについては国家間での協議が必要だと繰り返し強調した。イランは新協定による割当量が最少となり、事実上交渉の敗者となる可能性が指摘されている。(c)AFP/Christopher RICKLETON