【8月11日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は10日、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の試合前の国歌演奏で膝をついた選手に対して新たな非難の声を上げ、出場停止処分と給与差し止めにすることを求めた。

 トランプ大統領は昨年、社会的不公正を訴える抗議行動に出た選手を糾弾して騒動を巻き起こしたが、9日に行われたプレシーズンゲームで、マイアミ・ドルフィンズ(Miami Dolphins)のケニー・スティルス(Kenny Stills)とアルバート・ウィルソン(Albert Wilson)が試合前の国歌「星条旗(The Star-Spangled Banner)」演奏中に膝をついたことを受け、再びツイッター(Twitter)で激しく攻撃を展開した。

「NFLの選手がまたしてもやらかした。国歌演奏時には誇らしく起立するべきなのに、彼らは膝をついたのだ。アメフトの試合では、ファンが大金をはたいて観戦を楽しんでいる。そこに抗議行動をする余地はない。どのみち、ほとんどの金は選手に支払われるというのに。違う方法を見つけて抗議しろ。国歌演奏で誇らしく起立しないのなら、出場停止にして給与差し止めだ!」

 この他ではフィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia Eagles)のマルコム・ジェンキンス(Malcolm Jenkins)とデバンテ・バーズビー(De'Vante Bausby)が、ピッツバーグ・スティーラーズ(Pittsburgh Steelers)との試合前の国歌演奏時に拳を突き上げ、同様の抗議行動を示した。

 一連の抗議行動のきっかけとなったのは、警察官が武器を持たない黒人市民数人を殺害するという事件が起きたことを受け、2016年に元サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)のQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が、人種差別や社会的不公正に関心を集めるために国歌演奏時に起立を拒否したことだった。

 キャパニックは9日にツイッターで、ドルフィンズのスティルスとウィルソンへの支持を表明し、「わが兄弟であるスティルス(@kstills)が今夜、引き続き膝をついて組織的弾圧に抗議した。アルバート・ウィルソン(@iThinkIsee12)も抗議に加わった。強いままであれ、兄弟たちよ!」と投稿した。

 NFLは同日夜のコメント文で、今後も試合前の国歌演奏を続けることを発表。広報担当を務めるブライアン・マッカーシー(Brian McCarthy)氏は、「国歌演奏に関するNFLの方針に変更はない。これからも国歌は試合前に必ず演奏する。フィールドにいる選手と関係者は全員、国旗掲揚と国歌演奏時に起立すること。それを望まない者は、ロッカールームに留まることができる」と述べた。(c)AFP