【8月11日 AFP】ロシアの刑務所に収監され、約3か月にわたりハンガーストライキを行ってきたウクライナ人映画監督オレフ・センツォフ(Oleg Sentsov)氏(42)について、同氏の弁護士は10日、「死ぬ用意が出来ている」と話していることを明らかにした。

 同氏は3年前、ロシアがウクライナからクリミア(Crimea)半島を併合したことを受け、自身の出身地でもあるクリミアで放火に関わったとして有罪となり、ロシア北部の刑務所で禁錮20年の刑に服している。

 同氏のハンガーストライキは、ロシア政府にウクライナ人の政治犯全員を釈放させようと企図された。

 この弁護士はニュースサイト「Meduza」に対して、「センツォフ氏は他の人々と同様、死を欲しているわけではない。だが、死ぬ覚悟はしている」「心の奥底では恐れているとは思うが、それを表に出さないようにしている」と述べた。

 また、センツォフ氏は自暴自棄になっているのではなく、精神的な問題があるわけでもないとし「他人の命を助けるため、自身の理想と母国のため、ウクライナのカミカゼになった」と話した。

 フランス大統領府は、同国のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が10日午前、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と、この件に関する「人道的な解決」を見いだす必要性について電話で議論を交わしたと発表。センツォフ氏の健康に関する対応、および詳細の迅速な公表をプーチン氏が約束したことを明らかにした。

 また、プーチン大統領は、マクロン大統領がセンツォフ氏のハンガーストライキを終わらせるために行った提案についても、対応する約束をしたという。

 同氏のいとこはセンツォフ氏の状況について、今週フェイスブック(Facebook)に、「恐ろしいほどにひどい」と投稿し、手紙に「終わりが近い」と書かれていたと投稿していた。

 マクロン大統領をはじめとする西側諸国の政府要人の他、米俳優ジョニー・デップ(Johnny Depp)さんや作家のスティーブン・キング(Stephen King)さんら著名人も、ロシア政府に対し、繰り返しセンツォフ氏を釈放するよう呼び掛けていた。(c)AFP