【8月10日 AFP】男子ゴルフのジャロッド・ライル(Jarrod Lyle、オーストラリア)が8日、長期にわたる白血病との闘いの末、36歳で死去したことを受け、9日に開幕した米国ツアーメジャー最終戦、第100回全米プロゴルフ選手権(2018 PGA Championship)の出場選手の間で悲しみが広がっている。

 ライルは10代の頃に2度白血病と診断され、いずれも克服していたが、昨年になって再発していた。かつては米フロリダ州オーランド(Orlando)で向かいに住んでいたこともあるなど、ライルを「昔から知っている」同胞のジェイソン・デイ(Jason Day)は「彼はもう二度と帰ってこない。本当につらい」とすると、「彼は良い友人。胸が張り裂けそうだ」と声を詰まらせた。

 また、ライルは日々を楽しむために闘い、人生を最大限に謳歌(おうか)しようとしていたと振り返るデイは「彼は人生の半分で闘っていた。本当にすごいと思うのは、それでも彼がいつも元気で前向きだったことだ」とした上で、「17歳の頃に初めて白血病の診断を受けてから、彼は3回も闘病した。彼の経験したことは痛みを伴うものだが、それでも前に進めたというのは、彼の内面的な強さを示している」と話した。

「彼は多くの人に影響を与えた。彼と同じような状況に立たされていたり、病に苦しんでいたりする人は多い。彼の話を聞いて、彼が長く闘病しながらも良い人生を過ごし、2人の子どもに加えて最愛の奥さんにも恵まれたことを知る人にとっては、前向きな点も多い」

 メジャー通算14勝を誇るタイガー・ウッズ(Tiger Woods、米国)も、戦友の死に胸を痛めており、「つらい死だ。彼は仲間の一人。自分と同じ選手の誰かが苦しんでいるのを見るのは、いつだってきつい。彼の子どもたちは、父親がいなくなってしまった。私たち全員にとってつらい時間が続くと思う」と話した。

 また、この日はライルへの追悼の意を込めて、予定していた青に変えてライルがよく身に着けていた黄色のシャツを着てラウンドに臨み、5アンダー「65」で2位発進を決めたリッキー・ファウラー(Rickie Fowler、米国)は、「ここ数週間は、本当にみんながジャロッドのことを真剣に考えていた」「だからきょうはダークブルーを着る予定だったけど、昨夜の時点ですぐに変えたよ」と語った。

「本当に胸が痛む」と口にしたファウラーだが、その一方でライルは自分のことを思い出して友だちに泣いたりはしてほしくないだろうと話しており、「ジャロッドだったら、僕たちに彼のことを無念がったりしてほしくはないはずだ。もしそんなことをしていたら、彼は僕たちの尻を蹴って、元気を出してもっと楽しめよと言ってくるんじゃないかと思う」と付け加えた。

「だから、少しほろ苦い感じだ。もちろん、もう彼が僕たちと一緒じゃないというのは残念だけど、僕たちは彼のように生き、人生を歩んでいく」 (c)AFP/Jim SLATER