【8月10日 AFP】メキシコの首都メキシコ市で最大の麻薬密売組織のボスが、当局から逃れるために植毛や胃バイパス術を受けたものの、あえなく逮捕されていたことが分かった。同国政府が9日、明らかにした。

 メキシコ市最大の犯罪組織「ウニオン・テピート(Union Tepito)」のボスとされるロベルト・モヤド(Roberto Moyado)容疑者(37)は、減量手術の胃バイパス術により体重を30キロ減らし、植毛して髪の毛をふさふさの状態にしていたが、メキシコ市内で8日、麻薬取締官に身柄を拘束された。

 メキシコ国家安全保障委員会のレナト・サレス(Renato Sales)委員長は記者会見で、モヤド容疑者が「身元の特定と拘束を免れるため、外科的な処置を受けていた」と明かした。同容疑者は麻薬取引、ゆすり、誘拐、マネーロンダリング(資金洗浄)、複数の殺人に関与したとして手配されていた。

 当局や専門家らによると、モヤド容疑者はウニオン・テピートのボスで、同国有数の巨大麻薬組織「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」ともつながりがあるとみられている。

 麻薬密売組織のリーダーが手術によって外見を変えようとしたことは過去にもある。ボーイング737など何機ものジェット機を所有し、それを使って米国に麻薬を密売していたアマド・カリージョ(Amado Carrillo)は1997年、整形手術中に死亡している。(c)AFP