【8月10日 AFP】イングランド・プレミアリーグの移籍期限を迎えた9日、エバートン(Everton)がスペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)からDFジェリー・ミナ(Yerry Mina)を獲得した。しかし、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)は守備陣の強化を訴えたジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督を最後まで満足させることができなかったなど、リーグ全体としては珍しく、極めて静かな市場最終日となった。

 ユナイテッド対レスター・シティ(Leicester City)のシーズン初戦が10日に控えるなか、プレミアリーグでは今回初めて移籍期限が開幕戦の前日に移動された。イングランドを除く欧州トップリーグの移籍市場は今月中旬まで閉まらないため、プレミアのクラブは他の国から選手を獲得する際に不当に高い価格を支払うことを余儀なくされた。

 予想された最終日の駆け込み移籍はなかったが、エバートンは他にバルセロナからMFアンドレ・ゴメス(Andre Gomes)を1年の期限付きで獲得したほか、フリートランスファーでブラジル人ウインガーのベルナルジ(Bernard Anicio Caldeira Duarte)を補強するなど、最も活発な動きを見せた。

 コロンビア代表のミナは、W杯ロシア大会(2018 World Cup)で3試合3ゴールを記録するなど躍動したが、カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のパルメイラス(Palmeiras)から今年1月に加入したバルセロナでは、わずか6試合の出場にとどまるなど振るわず、クラブも7か月前にわずか1180万ユーロ(約15億円)で獲得した23歳から利益を得たいと考えていた。

 前日にチェルシー(Chelsea)が、スペイン1部リーグのアスレティック・ビルバオ(Athletic Bilbao)からケパ・アリサバラガ(Kepa Arrizabalaga)をGK史上最高額の8000万ユーロ(約103億円)で獲得して以降は、上位6クラブにほとんど動きはなかった。

 特にフラストレーションをためたのは、CBの補強を目指していたユナイテッドのモウリーニョ監督で、レスターのハリー・マグワイア(Harry Maguire)をはじめ、ドイツ・ブンデスリーガ1部のバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)に所属するジェローム・ボアテング(Jerome Boateng)らの名前が獲得リストに挙がっていたが、クラブは指揮官の期待に応えられなかった。

 今夏の移籍市場で一番の勝者となったのは、リバプール(Liverpool FC)のようにみえる。GKアリソン(Alisson Ramses Becker)のほか、MFファビーニョ(Fabio Henrique Tavares 'Fabinho')やナビ・ケイタ(Naby Keita)、シェルダン・シャキリ(Xherdan Shaqiri)を早々に獲得し、優勝予想では連覇を狙うマンチェスター・シティ(Manchester City)に次いで2位につけている。

 一方のシティは、クラブ史上最高額となる6000万ポンド(約86億円)を投じてリヤド・マフレズ(Riyad Mahrez)と契約したが、極めて静かな移籍市場を過ごした。シティでは9日、豪Aリーグの姉妹クラブであるメルボルン・シティ(Melbourne City)から10代のダニエル・アルザニー(Daniel Arzani)が加入したが、同選手はスコティッシュ・プレミアリーグのセルティック(Celtic)へローン移籍する予定となっている。

 トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)は今回の移籍市場で全く補強を行わなかった。これは現行のシステムが導入された2003年以降では初めてのクラブとなったが、ハリー・ケイン(Harry Kane)やクリスティアン・エリクセン(Christian Eriksen)、孫興民(Heung Min Son、ソン・フンミン)と新契約を結んで引き留めに成功したことで、マウリシオ・ポチェッティーノ(Mauricio Pochettino)監督はチームに満足しているという。

 レスターは、ユナイテッドのマグワイアに対する関心をはねのけたほか、ジェイミー・バーディー(Jamie Vardy)と新たに4年契約を結び、さらにDFのフィリップ・ベンコビッチ(Filip Benkovic)とチャグラル・ソユンク(Caglar Soyuncu)を獲得するなど、移籍市場最終日を最も満喫したクラブと言っても過言ではないかもしれない。(c)AFP/Kieran CANNING